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個別労働関係紛争の実態

手続き機関、各調査データ、他の紛争解決手続きとの違い

パワハラ係争中の誹謗中傷

今回は、パワハラで休職に追い込まれた従業員が会社を訴え、その訴訟係属中に従業員が会社のことを「ブラック企業」とネット上に拡散した事例を見ていきます。

概要

 労働者Xは、広告の企画制作会社Yで幹部社員M、派遣社員Nと3名体制で広告制作業務に就いていました。

 1年後、Xの業務負担が増し、残業を注意されたXは日報にうその労働時間を記録するようになり、それが上司に知られ、さらに叱責を受けることになりました。そこから叱責は様々に及びXは体調を崩して休職、賃金未払いやパワハラの損害賠償を求めて提訴しました。

 その係争中、Ⅹは、FacebookやTwitter上で会社を名指しで「ブラック企業」と投稿、会社側はネット記事の削除要請に留まらず、Xの訴訟行為自体を非常識であるかのように非難する文書をXに送付しました。

経緯

サービス残業

 労働者Xは、採用時にY社から「残業代を出していないが大丈夫か」と尋ねられ、Xも以前の勤務先で同様の状況だったので「大丈夫です」と答えていました。 (more…)

配転命令が無効となる場合

今回は、使用者に人事権として認められている配転命令が、権利濫用に当たり無効とされる場合があることを、ある事例から見ていきます。

概要

労働者Xは、従業員40名弱の商社(Y社)で課長として勤務してきましたが、退職勧奨を受け「退職することは納得できない」と拒否したところ、本社から倉庫の荷物運搬業務に異動、さらに課長の職を解く降格命令を受け、これに伴い賃金は1/2まで減額されました。

Y社は、このような人事の理由を 

  • 総合職としての適性欠如(営業成績の粗利達成率が営業部内で最低) 
  • 総務経理経験のないXは本社の他部門への配転が適さないため倉庫配転が業務上必要であった

(more…)

ハラスメントをあっせんで解決するなら

今回は、いじめから退職を余儀なくされた労働者Ⅹがあっせんを申請した事案※1を見てみます。 

概要

Ⅹは、学習塾講師の仕事でY社に正社員として働いていました。

ある日、高熱で午前中の会議を欠席すると連絡をしたところ、会議の出席を強要されました。

また数日間の入院が必要になったときには、生徒たちへ授業を休む連絡を、入院中のⅩが自分でするように言われました。

Ⅹは、限界を感じて退職の意思を固めました。円満退職にしたかったので、家庭の都合という理由で退職を申し出たところ、社長から「Ⅹはどこへ行ってもいじめられる」、「俺の言うことを聞いて仕事をしていればいい」、「退職するなら勤務態度を詳細に記載した書類を次の就職先へ送付する」などと言われ、また先輩講師からは、Ⅹの入院のせいでやめた生徒の授業料の支払いを要求されました。

Ⅹは精神的に追い詰められ、自己都合退職と書いた退職願をY社に郵送して退職しました。しかし、実際はいじめが原因で退職せざるを得なかったのだから、実質的な解雇にあたるとして、謝罪と補償金60万円の支払いをY社に求めるあっせんを申請しました。 (more…)

慎重を期す退職の意思確認

今回は、産休中の歯科衛生士Xに不快感を抱いた歯科クリニック代表者理事長が、強引に退職手続きをすすめてしまった事例をみていきます。

概要

Xは、産休開始後に、クリニックが労務管理事務を委託している社労士事務所に対して、出産や育児休業の手続きに必要な書類の送付を求めましたが、一向に届きません。

他方、理事長はXとXの同僚らの「Xは育児休業取得後、職場復帰予定」という共通認識に反して、退職手続きを進めようとし、その委託を受けている社労士事務所もXから求められた必要書類送付に応じませんでした。

Xは休業中にも同僚と連絡を取り合って、理事長が自分(X)を辞めさせようとしているのではないかと考え、改めて理事長に“ライン”で復帰の意思表示をしました。

しかし、Xのもとには出産手当金関係の書類と一緒に退職願用紙が届きます。Xは、出産手当金関係書類のみ返送したところ、書類不足の連絡を受けたため、再度理事長に対し“ライン”で「1年後復帰予定、退職の意思はない」ことを明示しました。 (more…)

休職期間満了による退職

私傷病による休職が一定期間続くと、会社はその従業員に休職命令を出して、療養に専念してもらうことがあります。

休職については、会社によって様々な定めがあり、一般的には、休職期間が満了してもなお、復職できないときは自然退職とされることが多いようです。

今回は、順調に復職手続きが進んでいるかにみえた矢先、会社から指示がないまま復職予定日を過ぎ、ついに休職期間満了日も過ぎて退職扱いとなった事例をみていきます。

概要

運送業のY社にドライバーとして期間の定めなく雇用されている従業員Xは、胃がんの手術をして、療養開始から6か月後に就業規則の定める休職期間に入りました。

休職期間満了の2ヶ月前、Xは、Y社に対して、主治医による「仕事復帰可能」との診断書を添えて9月23日からの復職を申し出ました。 (more…)

ハラスメント発生!会社がとるべき対応とは?

今回は、ハラスメント行為が発生した後、使用者の採った対応が労働契約上の義務違反にあたるとして、損害賠償が命じられた事例を見ていきます。

概要

講師Ⅹは、授業中に学生Yからセクハラ行為を受けたことについて、雇用主である学園に対応を求めました。

学園が採った対応は次のとおりです。

  • 講師Ⅹは、学生Yを自分の授業に出席させないでほしいと要求しましたが、学園は「授業料をもらっているから」と言って拒否
  • 学生Yに30分/回程度の事情聴取を2回

学生Yは、「『ノリ』で触ったかもしれないが覚えていない」などと回答。聴取担当者は、「事実やっていないと否定はしていない」という認識を持ちました。 (more…)

解雇の意思表示はあったか無かったか

今回は、解雇通知書に「解雇致します」と書いてあるのに、裁判所から「普通解雇の意思表示がされたとは認められない」と言われてしまった事例を見てみます。 

概要

会社は、従業員10人未満の不動産業で、従業員Xは、在職2年弱の営業担当者です。

Xは、役員(社長の息子)が刑事事件で逮捕されたことを、社長が理事を務める業界団体に告発したことで解雇されました。告発は匿名でしたが、社長が名誉棄損罪等で被疑者不詳のまま刑事告訴したので、ほどなくXの行為であることが判明しました。なお、Xは、後に不起訴処分となっています。

社長が従業員Xへ送付した解雇通知書を要約すると次のとおりです。(下線部分は原文のままです)

「○年○月○日より自宅待機を通知いたしましたが、(業界団体に役員の刑事事件について告発した)犯人は正式に貴殿(X)であると判明しましたので自宅待機の○年○月○日付にて解雇致します。

(解雇理由)
① (Xは業界団体の)協会会員でもないのに、協会会員であるかのように虚偽の文章を送付した。
② 協会を混乱に陥れる強要文章(社長の協会理事の辞任要求)をFAXにて送信した。(コンビニFより)
③ 2ヶ月近くに渡り、犯人は自分ではないと思い込ませ、非道な行為をとってきた。

以上の理由により会社及び社員全員の信頼・信用を傷つけたことにより、協会及び会社として○○署に強要罪並びに名誉棄損罪で告訴しております。以上」

従業員Xは、解雇無効で提訴しました。

判決は、会社側に、上記通知書による普通解雇の意思表示は認められず、つまり、労働契約は継続していることになり、その間の給与支払義務が命じられました。

どうしてそうなるのでしょう。

事例は、A不動産事件(広島高裁H29,7,14判決)です。

普通解雇の意思表示が認められなかった理由

解雇の有効性が問われるときは、まず、問題の行為は、就業規則の解雇事由に該当するかどうか、次に、該当するなら、その解雇は相当かどうか、が検討されます。

事例会社の就業規則で解雇事由は次のように定められていました。(抜粋)
  
第4条(解雇) 社員が各号の1に該当するときは解雇する。

(1)社員が故意又は重大な過失によって会社に損害を与えた場合には懲戒処分に処するほか、その損害の全部又は一部を賠償させることがある。
  第14条(懲戒解雇) 社員が次の各号の1に該当する場合は懲戒解雇とする。ただし情状により酌量する場合がある。
(2)刑事上の罪に問われた者で懲戒解雇するのを適当と認めたとき
(3)会社の信用を著しく損なう行為のあったとき

裁判所の判断は、→の部分です。

Xの行為は、懲戒解雇事由(2)に該当するか?
→「刑事罰に問われた」とは、起訴され刑罰に問われた場合のことだから、不起訴処分だったXは該当しない。

Xの行為は、懲戒解雇事由(3)に該当するか?
→「信用を著しく損なう」とは、単に行為だけではなく、実際に重大な損害が生じたか、生じそうだった場合をいうのであって、会社の損害はそこまでじゃない。

だから、懲戒解雇としては無効、ということです。

それでは、普通解雇ならどうなのでしょうか。

Xの行為は、普通解雇事由(1)に該当するか?
→会社の信用を毀損したと認められ、普通解雇事由には該当する。

そこで次の“解雇の相当性”についても、客観的合理的で社会通念上も相当、と認められました。

しかし、会社が従業員を処遇するには、手続きを踏まなければなりません。

事例の場合は、解雇通知書による雇用契約解除の申し入れ(意思表示)です。
→通知書は、懲戒解雇の意思表示だろうとは読めるものの、該当する懲戒解雇事由の条項が示されていないし、懲戒解雇だとすれば上記の通り無効。
普通解雇の意思表示としてみるなら、やはり該当する普通解雇事由の条項が書いていないし、「労働契約の解約申入れにすぎないことを窺わせる記載はされておらず、普通解雇の意思表示が内包されているとは認められない」

つまり、普通解雇の意思表示もあったとは認められない、ということです。

背景

社長は、役員(社長の息子)の不祥事について従業員に謝罪しましたが、役員の処分や事件が新聞に掲載されたことによる顧客対応については触れませんでした。

従業員Xは、前から、自分の売上目標は達成しているし、他の従業員の売上も落ちているようにはみえないのに会社は赤字だと言われ、賞与額が採用時に聞いていたよりも少なかったことから、会社に不信感を持っていました。

従業員側から見たコメント

「会社の姿勢を糾したい」、そのような意図で会社を相手に行動に出る方がときどきいらっしゃいます。

事例の従業員Xは、不起訴処分となって幸いでしたが、会社のために一生ものの失点を負う覚悟があったと読み取ることは出来ません。

Xの行為(業界団体に対して会員を名乗り社長の協会理事辞任要求をFAX送信)は、会社にもっと説明を求めるなどの協議もしないで、「いきなり外部団体に不満のはけ口を求めたもので、著しく相当性を欠く」、と判示されています。従業員Xの「会社にコンプライアンスを求める目的でFAXした」という主張も裁判で退けられています。

会社側から見たコメント

1つの行為について、普通解雇と懲戒解雇、両方の可能性が検討されており参考になります。

この他、事例では、就業規則の周知についても争点となりました。周知していないと就業規則そのものが無効となってしまいます。貴社の就業規則は、社長の机の引き出しに施錠して保管などされていませんか。

また、会社を訴える従業員のメンタリティには、組織への不公正感(「ずるい、納得いかない」など)が少なからずあります。上記事例の賞与が当初提示額より少なかった経緯は不明ですが、従業員に説明できない理由で、事前に提示していた待遇を下げることには、それなりのリスクが伴います。

変更した就業規則の有効性


 
今回は、固定残業代制を導入して変更された就業規則が有効かどうか争われた事例を見てみます。

有効なら従業員は、固定残業代の範囲内に収まる時間外労働に対する割増賃金を失うことになり、無効なら会社は、未払い残業代を従業員に支払うことになります。

概要

発端は、会社に労働基準監督署の調査が入って、時間外労働に対する割増賃金を支払っていないという指導勧告を受けたことです。

「全員の残業代を清算したら経営を圧迫する」と考えた会社は、これまで支給してきた諸手当(職務手当、物価手当、現場手当、外勤手当、工場手当等)を同額そのまま残業代相当とする固定残業代制を創出して、就業規則を改定しました。 (more…)

訴えられたときの会社としての対応

今回は、在職従業員Xらから、未払い残業代請求で訴えられた会社がとった言動によって、会社側に更に不法行為責任が求められた事例を見てみます。 

概要

会社は固定残業代制を導入しましたが、従業員らは納得せず、従来の計算方法による残業代を請求する訴訟を提起しました。

訴えた従業員Xらは在職中ですから、訴状が届いた会社はすぐにこの従業員らと話しをしました。

1.「(X3に対して)君の真意を聞きたい。会社を訴えるなんて大変なことなんだぞ。訴えた者の名前、金額を全社員の前で公表してもいいんだぞ。」 (more…)

求人票と実際の労働条件が違うとき

今回は、求人票と実際の労働条件が違うとき、どちらが労働契約内容となるのかが問題になった事例をみていきます。

概要

事業所Yは、福祉施設の開設に伴い、管理責任者の求人をハローワークに出しました。求人の内容は次のとおりです。

  • 月給25万円
  • 雇用期間の始期 2月1日
  • 雇用期間の定めなし
  • 定年制なし

この求人に応募したXは64歳、面接で定年制がないことを質問したところ、Y代表者は「まだ決めていない」と回答しました。

その後Xは採用されますが、2月中は、Xの都合の良い日の出勤で足りると言われて時給で11日間就業し、3月1日からフルタイムでの就業を開始しました。
(more…)

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