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育児介護休業等から職場復帰に関するトラブルを解決したい

たとえば、次のようなトラブルに見舞われたとき、どのような解決方法があるでしょうか。

  • ケース1:育休明けに職場復帰を希望したのに、「復帰先がない」と言われて退職に追い込まれた。
  • ケース2:育休明けの従業員に、従前の職場の空きが無いので別の職場を提示したところ、強硬に従前の職場復帰を求められた。
  • ケース3:育休明けに復帰したら、正社員からパート社員に雇用契約内容が変わっていた。
  • ケース4:子の養育のために残業ができないことで、同僚から嫌がらせを受けたが、上司に相談しても何も対応してもらえなかった。

育児介護休業等を巡ってのトラブルには、「調停」を利用することができます。(以下、「法」は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行なう労働者の福祉に関する法律」を指します。)

都道府県労働局 雇用環境 均等部(室)の調停

調停は、育児介護休業等を労働者が利用しようとして、あるいは利用した後などに、育児介護休業等が原因の紛争(労使間で主張が一致せず、対立している状態)が発生したとき、第三者(調停委員)が入って、当事者の互譲によって現実的な解決を図る手続きです。

調停を申請するときは、調停申請書を紛争当事者である労働者の勤務先事業所を管轄する都道府県労働局長に提出します。例えば、本社が東京都内にあって、川崎支店に勤務する労働者が紛争当事者であるなら、神奈川県労働局に申請します。

申請書を書くときのポイントは、「感想」や「評価」ではなく「事実」と事実を根拠とする「要求(回復したい損害)」を書くことです。申請書フォームの「紛争の経過」は、フォーム枠のなかに収まらないのが普通なので、別紙に詳しく記述します。

当事者に関する情報も、フォームにあるような住所や連絡先だけとは限りません。当事者のことを何も知らない調停委員に紛争を理解してもらうためには、事業規模、従業員男女比、事業活動の特性、労働者の職種、待遇など、事案によって記載するべき情報は様々です。

育児・介護休業法に基づく調停申請書ダウンロード

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/var/rev0/0146/6795/201551175813.pdf

一般の方に、調停申請書の書き方がよく分からないのは当然です。

申請書は、その写しが相手方に送付されることになるので、内容によって相手方の調停参加・不参加に影響する重要な意味があります。

当事務所は代理人として、当事者の事情をよく伺って文言化するプロです。貴方の悔しい思い、会社がうまく伝えることができなかった処遇の背景、想定される“相手方の反論に対する反論”なども、法律論に終始しない調停の場で主張することができます。

さらに、調停期日のディベートは、不慣れな一般の方が一人で参加して、言いたいことが言えずに終わってしまうと後悔が残ります。

特に、育児介護休業等の諸制度を利用される方は、家庭の事情を抱えながら行う調停手続きとなります。

調停のことなら、当事務所へご相談下さい。→ https://www.adr-sr.com/contact

留意事項

育児介護休業等に関する紛争であっても、以下のような事案は申請受理されないことがあります。

  1. 事業主の措置が行なわれた日から1年を経過した紛争
  2. 既に裁判や他の行政手続きで救済が図られている紛争(ただし、両当事者が調停を優先する意向がある場合を除く)
  3. 集団的な労使紛争(例えば一方当事者が労働組合の場合)

(通達「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行なう労働者の福祉に関する法律の施行について」平成29年1月1日)

調停を利用した解決例

ケース1

育休明けに職場復帰を希望したのに、「復帰先がない」と言われて退職に追い込まれた。

このような事案は、法第10条の「不利益取扱いの禁止」に抵触している可能性があります。

使用者は、育休取得者に対して育休を理由に解雇その他の不利益な取扱いをしてはいけないことになっています。

退職に追い込まれた育休取得者としては、何を求めますか。あくまで復職にこだわるのか、あるいはトラブル期間中の所得補償や有給休暇の完全消化と事業主都合とする退職理由など、退職条件で合意を得る話し合いも調停で可能です。

ケース2

育休明けの従業員に、従前の職場の空きが無いので別の職場を提示したところ、強硬に従前の職場復帰を求められた。

このような事案は、使用者側から調停申請することができます。

従業員が提示した労働条件を受け入れないからといって解雇するなどは早計で、民事訴訟のリスクが高い確率で生じるところです。

その前に、調停委員を介して、会社として、できることとできないことを示し、それでも受け入れられないときは退職条件を詰める方向へシフトすることもできます。

そのようなプロセスを踏めば、結果は同じ退職者を出すことになっても、いきなり解雇とは、その後のリスクが全く違います。調停を経ることは、遠回りをするように見えて、早期かつ確実な決着につながるのです。

ケース3

育休明けに復帰したら、正社員からパート社員に雇用契約内容が変わっていた。

このような事案は、ケース1同様、禁止されている不利益取り扱いに該当する可能性があります。

調停は、違法性を判定する場所ではないものの、明らかに違法な処遇に対しては、調停委員が使用者を説得する場面もあります。

ケース4

子の養育のために残業ができないことで、同僚から嫌がらせを受けたが、上司に相談しても何も対応してもらえなかった。

このような事案は、ハラスメントの可能性があります。特に、育児介護休業等にまつわるハラスメントは、事業主に対して、ハラスメントが生じないような体制の整備※1その他の雇用管理上の措置が義務付けられています。

ハラスメント被害者は、女性だけでなく、育児介護休業等を利用した男性もなり得ます。ただし、ハラスメント行為者である同僚を相手方として調停を申請することはできません。

労働局の調停は、労働者個人と使用者間の紛争に限ります。

事業主の、ハラスメントを防止するための措置は、事業規模に関わらず義務となっています。ケース4は、事業主がその措置を怠ったとみて、使用者責任による損害の回復を求めることなどが考えられます。

調停手続きの流れ

調停申請書が労働局で受理されると、申請書の写しが両当事者に送付されます。

相手方が拒否すると、調停は不開始で終了し、相手方が応じることになれば、開始通知が届きます。調停期日は、両当事者と調停委員のスケジュール調整があって後日決定します。

追加資料の提出は、調停期日の約2週間前まで可能です。

調停当日、両当事者は顔を合わせることがない別々の控室で待機します。申請人が先に呼ばれて調停委員の質問に答えます。

申請人が退席した後、被申請人が呼ばれます。これを何往復か繰り返します。合意の兆しが見えると調停委員の熱心さも増してきます。全く合意の可能性が見えないときは早く終わったりします。

調停期日は1回限り、通常2~3時間を予定されていますが、長いときは半日かかることがあります。

後日、委員会の判断で合意内容が書かれた調停案が示され、これを承諾するか、承諾しないかの意思表示を文書で回答します。両当事者が承諾すれば調停案成立、当事者の一方でも承諾しなければ不成立で調停は終了です。
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申請書受理から調停案受諾勧告へ返答するまで2~3ヶ月程度です。

労働局均等部(室)の調停で扱う育児介護休業等の諸制度

法に定める以下の諸制度に係る紛争は、調停の対象とされています。

  • 1歳まで、1歳6ヶ月まで及び2歳までの育児休業(法第2章)
  • 介護休業(法第3章)
  • 子の看護休暇(法第4章)
  • 介護休暇(法第5章)
  • 子の養育を行なう又は家族介護を行なう労働者の所定外労働の制限(法第6章)
  • 子の養育を行なう又は家族介護を行なう労働者の時間外労働の制限(法第7章)
  • 子の養育を行なう又は家族介護を行なう労働者の深夜業の制限(法第8章)
  • 3歳未満の子を養育する労働者の所定労働時間の短縮措置(法第23条)
  • 3歳未満の子を養育する労働者の所定労働時間の短縮措置の申し出をし、又は措置を受けたことによる解雇その他の不利益取扱い禁止(法第23条の2)
  • 育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(法第25条)
  • 子の養育や家族介護を行っている労働者の配置に関する配慮(法第26条)

上記の諸制度には、従業員が制度利用を申し出たこと又は制度を利用したことを理由とした※2解雇その他不利益取扱いの禁止がセットになっています。

「不利益取扱い」とは、有期雇用契約が更新されない、減給、降格、就業環境が害されることなどです。

なお、原則として、上記諸制度の利用を従業員から申出があれば、会社は拒否することができません※3。

特に中小企業は、休業中の代替労働力確保や復帰時の職業確保の問題などに対応が困難であることから、トラブルが生じやすい状況です。

しかし、事業規模や業種は理由にならないので、やはり可能な限りの整備は、しておかなければなりません。何年も前に策定した就業規則のままでは、近年の働き方改革など重要な法改正に対応していない可能性が高く、大きなリスクを抱えていると言えます。

※1:ハラスメントが生じないような体制の整備

※2:「育児介護休業等を理由とした」とは、因果関係があることを指します。育児休業を例にすると、育児休業終了または職場復帰等の事由から1年以内になされた不利益取扱いは、「育児休業を契機として」なされており、原則として「育児休業等を理由として」いると解され、違法です。ただし、1年を超えてからなされた不利益取扱いであっても、人事異動など実施時期が事前に決まっている措置による場合は、「理由として」に該当する場合があります。

※3:申出を拒否できる場合は、例えば、育児休業をすることができないものとして、雇用期間が1年未満の者、休業申出があった日から1年以内に雇用契約が終了する者又は1週間の所定労働日数が2日以下の者などと協定で定められている場合です。

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